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交通事故紛争処理センターとは?メリットデメリットも解説!

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交通事故紛争処理センター
交通事故に遭ったときには、相手の保険会社や相手本人に対して賠償金の請求をしなければなりません。
このとき、まずは示談交渉をしますが、話合いでは解決できない場合、交通事故紛争処理センターという機関を利用することができます。
今回は、交通事故紛争処理センターの概要と、利用のメリット・デメリットをご説明します。

1.交通事故紛争処理センターとは

そもそも、交通事故紛争処理センターとはどのような機関なのでしょうか?
これは、交通事故に関するADRです。
ADRというのは「裁判外紛争処理手続き」で、裁判所を使わずに紛争を解決するための手段です。
いろいろな分野のADRがありますが、交通事故のADRの代表的なものが、交通事故紛争処理センターです。
略して「紛セン」などと呼ばれることもあります。
運営しているのは「公益財団法人交通事故紛争処理センタ-」という公益法人です。
交通事故紛争処理センターはこれまでの解決実績も豊富です。
交通事故でADRを利用するなら、この交通事故紛争処理センターか、日弁連(日本弁護士連合会)が運営している「「日弁連交通事故相談センター」を選ぶと間違いがないでしょう。
本部は東京ですが全国に支部があり、近くの支部や相談室でサービス受けることができます。
支部は、札幌と仙台、名古屋、大阪、広島、高松、福岡にあり、さいたまと金沢、静岡に相談室があります。
これは、全国の高等裁判所のある場所と一致します。
 

2.何をしてくれるのか?

交通事故紛争処理センターを利用すると、どのようなサービスを受けることができるのでしょうか?

2-1.法律相談

まず、相談をすることができます。
事故の相手ともめてしまい、自分たちで解決ができないときに、交通事故紛争処理センターに申込みをして、どのような対応をすれば良いのかアドバイスを受けることができます。
相談を担当してくれるのは、交通事故の経験豊富な弁護士なので、助けになることでしょう。

2-2.和解あっせん

次に、和解あっせんというサービスがあります。
これは、センターが当事者同士の話し合いを仲介してくれるものです。
被害者と加害者の間にセンターの担当者が入ってくれて、お互いが合意できるように話を進めてくれます。
簡易裁判所の調停を、交通事故紛争処理センターで行うようなイメージです。

2-3.審査請求

和解あっせんをしてもらっても、相手と合意ができないことがあります。
そのときには、和解は不成立になって終わってしまいます。
そこで利用できるのが、審査請求です。
審査請求とは、センターに申請をして、賠償金の内容と金額を決定してもらう手続きです。
当事者双方が審査結果を受け入れたら、その内容に従って相手から支払いを受けることができます。
ただ、審査結果に対しては、当事者は異議申し立てをすることができます。
異議申し立てがあると、審査結果は効果を失うので、問題を解決することができません。
相手が保険会社の場合、保険会社は審査によって決定した内容に従います。
これに対し、相手が本人の場合には、異議申し立てをされる可能性がありますし、自分の方が結果を気に入らず、異議申し立てをすることもあります。
 

3.どんなときに利用するのか?

交通事故紛争処理センターは、どういったケースで利用するものなのでしょうか?

3-1.相手の保険会社と示談が決裂した

決裂
相手に保険会社がついている場合、事故後、相手の保険会社と示談交渉をします。
そこで、賠償の内容や金額を決めていくのですが、話し合いをしてもお互い合意できないことがあります。
このように、相手の保険会社と示談が決裂したら、そのまま示談交渉を続けても無意味なので、次のステップに進むために紛争処理センターを利用します。

3-2.相手が本人で、話合いができない

交通事故では、相手に保険会社がついておらず、本人と交渉しなければならないケースもあります。
この場合、相手が示談に応じなかったり、示談を進めようとしても、相手も自分も素人なので、どのように話をしたら良いのかわからなかったりします。
そこで、紛争処理センターを使い、センターに間に入ってもらって交通事故の損害賠償金の計算方法などを聞きながら進めると、話をしやすくなります。
また、紛争処理センターが間に入ると、お互いが感情的になりにくいので解決に至りやすいです。
ただし、相手が保険会社ではないときに紛争処理センターを利用するには、相手本人による合意が必要となります。

3-3.弁護士を雇うお金がない、裁判をしたくない

交通事故後、相手の保険会社や相手本人と示談交渉をしたけれど、決裂してしまうことがあります。このとき、とりうる手段は調停とADRと訴訟です。
訴訟となると、弁護士雇わないといけませんし、時間も費用もかかります。
かといって、調停には強制力がないため、頼りないと考える方もおられるでしょう。
このように、示談交渉が決裂したけれども、弁護士を雇いたくないし、裁判はしたくないという場合にも、ADRを利用する価値があります。
 

4.交通事故紛争処理センターが取り扱わないケース

4-1.センターが取り扱わないケース

交通事故紛争処理センターは、以下のような事故を取り扱っていないので注意が必要です。

  • 自転車と歩行者や、自転車同士の事故
    自動車が関与する事故しか取り扱わないということです。
  • 搭乗者傷害保険や人身傷害補償保険など、自分の自動車保険会社に対する請求について
    交通事故紛争処理センターが取り扱うのは、あくまで相手の保険会社との紛争です。

搭乗者傷害保険や人身傷害補償保険は、自分の保険会社に対する請求ですから、これらに関する紛争は、センターで取り扱ってくれません。

  • 自賠責保険の後遺障害等級認定に関する問題
    交通事故で後遺障害が残ったら、後遺障害等級認定申請をしますが、自分が期待していたような認定を受けられないこともあります。

この場合、異議申し立てをして争うこととなりますが、こういった後遺障害等級認定の手続きは、自賠責保険に関する紛争なので、センターは取り扱ってくれません。

4-2.相手が本人や共済の場合

また、相手方が加入しているのが「保険会社」ではなく「共済」である場合にも注意が必要です。
紛争処理センターで「共済」を相手にできるのは、JA共済連と全労済、交協連、全自共と日火連です。
これ以外の共済が相手の場合、基本的に交通事故紛争処理センターを利用できません。相手が保険や共済に加入しておらず、本人の場合も同じです。
ただし、相手が加害者本人である場合と同様、相手の共済が同意したら、センターの利用が可能です。

4-3.和解あっせんを受けられないその他のケース

また、以下の場合には、紛争処理センターの和解あっせんを受けることができません。

    • 治療中のケース
      治療が終了しないと、損害の内容を確定できないので、和解あっせんを受けることができません。必ず症状固定してから和解あっせんを申し立てましょう。

 

    • 被害者が後遺障害等級認定を申請し、手続きが進行中のケース
      後遺障害等級認定の手続きが進行中の場合、和解あっせんを利用できません。結果が出てから申請しましょう。

 

  • 被害者が、後遺障害等級認定結果に対して異議申立をして手続き進行中のケース
    交渉害の等級認定がおりても、その後被害者が異議申し立てをすることがあります。

その場合、その結果が出るまでは和解あっせんを利用することができません。

  • 後遺障害等級認定について、自賠責や共済紛争処理機構との調停が進行中のケース
    被害者が後遺障害等級認定結果に納得できず、自賠責紛争処理機構に調停の申し立てをして、その手続きが進行中の場合にも、和解あっせんを受けられません。

和解あっせんを受けるには、自賠責との関係で、後遺障害に関する問題が解決されている必要があります。

    • 和解あっせんを予約した時点で、訴訟や調停が行われているケース
      ただし、予約受付後であれば、相手が訴訟や調停の申立てをしても、和解あっせんをしてもらうことができます。

 

    • 日弁連交通事故相談センターなどの他のADRで手続が行われているケース
      他の機関を利用しているなら、そこで問題を解決すべきです。

 

  • 既に訴訟や和解などによって問題が解決されているケース
    既に問題が解決されているなら、ADRが紛争を蒸し返すことはできないので、やり直すことは不可能です。

 

5.交通事故紛争処理センターの利用方法

以下では、交通事故紛争処理センターを利用するときの手続きの流れをご説明します。

5-1.相談を受ける

相談
まずは、センターに相談を申し込みます。
日にちと時間が決まったら、近くの支部に行って担当者(弁護士)による相談を受けましょう。

5-2.和解あっせんを申し立てる

相談をした結果、相手との和解あっせんをしてほしいと思ったら、センターに和解あっせんを申し立てましょう。
申し立ては、書面でも良いのですが、口頭でもできます。
申し立てをすると、だいたい2~3ヶ月後に第一回の期日が入ります。

5-3.相手を呼び出して話をする

期日が決まったら、センターから相手に対し、通知が送られます。
そして、第一回期日、被害者と加害者の双方がセンターに来て、担当者の仲介のもと、話合いを行います。
このとき、まずは被害者が担当弁護士に対し、事故の状況や希望する損害額について説明します。
すると、担当弁護士が相手の保険会社(または相手本人)にその内容を伝えます。
その後、相手が受諾するかしないかを検討し、受諾しないなら提案をしてきます。
このように、双方から出た意見をもとに、担当弁護士があっせん案を考えて、当事者双方に提示されます。
このような話合いの手続きを、何度か期日を入れて繰り返します。
1回の期日にかかる時間はだいたい1時間で、1ヶ月に1回くらい、期日が繰り返されます。
小さい物損事故なら1回で和解が成立することもありますが、平均的には3回~5回くらい期日を開催することが多いです。
最終的に、お互いが納得できたらその内容で和解が成立し、問題は解決されます。

5-4.審査請求をして裁定してもらう

担当弁護士から和解案を提示されても当事者の双方や一方が納得しないときには、当事者が希望すると、センターで審査決定が行われます。
このとき、相手が保険会社の場合には、決定内容に従います。
被害者も納得したら、その内容で事件を解決することができます。
ただ、被害者が納得しないときには異議申し立てができますし、相手が加害者本人の場合には、加害者も異議申し立てをすることができます。
異議申し立ては、審査決定後、14日以内にしなければなりません。
そして、異議が申し立てられたら、裁定案は効果を失うので、賠償問題は訴訟によって解決する必要があります。
 

6.センターの利用にかかる費用は?

交通事故紛争処理センターを利用するとき、費用がどのくらいかかるのか心配だという方も多いでしょう。実は、利用料金は完全に無料です。
弁護士費用が用意できないときにも、紛争処理センターを使えば交通事故問題を解決することができるので、是非とも賢く利用しましょう。
 

7.交通事故紛争処理センターを利用するメリット

交通事故紛争処理センターを利用すると、どのような点でメリットがあるのか、ご説明します。

7-1.早期解決ができる

解決
センターの和解あっせんや審査請求を利用すると、比較的スピーディーに問題を解決することができます。
1回の期日で終了したら、申立後2~3ヶ月で解決できますし、その他のケースでも、半年もあれば問題を解決できることが多いです。
訴訟をすると、申立後1年くらいかかることも普通にあるので、それと比べるとメリットがあります。

7-2.相手が保険会社でも対等に交渉しやすい

センターを利用すると、相手と直接交渉をする必要がありません。
間にセンターの弁護士が入ってくれて、法律的な見地から妥当な内容の和解案を提示してくれます。
このことにより、被害者が弁護士を雇わなくても、相手から不当な条件を押しつけられる心配が減ります。
被害者が相手の保険会社と示談交渉をするとき、知識やノウハウが不足しているため、どうしても被害者が不利になってしまうのですが、センターを利用するとそうした力の差を埋めることができるのです。

7-3.審査請求ができる

相手と示談交渉が決裂したとき、裁判をせずに自力で解決する方法としては、簡易裁判所の調停があります。
ただ、調停は「完全に」話合いによって解決する方法ですから、当事者の片方が納得しない場合には合意することができません。裁判所に何らかの解決方法を決めてもらうこともできないのです。
これに対し、紛争処理センターでは、「審査請求」をすると、センターで決定をしてもらうことができます。
異議申し立ては可能ですが、双方が納得したら、その内容で終局的に問題を解決することができるのです。
このことは、調停にはないADRのメリットです。

7-4.費用が無料

交通事故紛争処理センターは、これほど充実したサービスを受けられるにもかかわらず、利用料金が完全に無料です。
これは、何よりのメリットと言えるでしょう。
センターの弁護士が法的な面でサポートしてくれるので、弁護士を雇う必要もなく、弁護士費用も不要です。

7-5.弁護士基準で計算してもらえる

交通事故紛争処理センターを利用すると、賠償金を「弁護士基準」で計算してもらうことができます。
弁護士基準とは、裁判所が採用している賠償金計算基準です。
交通事故の賠償金計算基準には3つの種類があるのですが、中でも弁護士基準が最も高額になります。
被害者が自分で示談交渉をすると、相手の保険会社は低額な任意保険基準や自賠責基準を使ってくるので賠償金を下げられてしまうのですが、ADRを利用すると、高額な弁護士基準をつかってもらえるので賠償金の金額がアップします。
 

8.交通事故紛争処理センターのデメリット

8-1.終局的な解決にならないおそれがある

交通事故紛争処理センターを使っても、必ずしも問題を解決できるとは限りません。
和解あっせんを受けても、当事者双方が受け入れなければ解決できませんし、審査請求をしても、結果を気に入らなかったらやはり問題の解決にはならないためです。
相手が加害者本人の場合(保険会社がついていない場合)には、相手が異議申し立てをする可能性もあります。
もし、異議申し立てをして裁定の効果が失われたら、数ヶ月以上かけてセンターで手続きを進めてきた手間や時間はすべて無駄になってしまいます。

8-2.自分の味方になってくれるわけではない

紛争処理センターを利用すると、担当弁護士がついてくれますが、この弁護士は、被害者が依頼した弁護士とは異なります。
「中立」の立場ですから、被害者側にも加害者側にも経ちません。
被害者が、自分の心情や希望、主張を理解してほしいと思っても、担当弁護士が自分に肩入れしてくれることはありませんし、適切に説明をしないと不利になってしまいます。
主張や説明、立証が不適切だと不利になってしまうおそれもあります。
このことは、自分で弁護氏を雇って依頼するのとは全く異なるところです。

8-3.弁護士を交代してもらえない

交通事故紛争処理センターの担当弁護士は、いろいろな人がいます。
たまたま担当になった人が気に入らないこともあるでしょう。
話の進め方が下手だと感じることもありますし、態度や対応に不満を持つこともあります。
しかし、いったん担当弁護士が決まると、相談、和解あっせん、審査請求のすべての手続きが終わるまで変えてもらうことはできません。

8-4.遅延損害金を請求できない

紛争処理センターを利用すると、担当弁護士から和解案を提示されたり、審査請求の結果裁定が下されたりします。
ただ、これらによって計算される賠償金には、遅延損害金や弁護士費用は含まれません。
訴訟で判決を出してもらったら、年5%の法定利息による遅延損害金を当然つけてもらうことができますし、弁護士を雇った場合には、認容額の10%の弁護士費用を認めてもらうことができます。
これと比べると、交通事故紛争処理センターでは賠償金が少なくなってしまうので、デメリットがあると言えます。
 

9.紛争処理センターか弁護士に示談交渉を依頼するか

相手と示談交渉が決裂したとき、示談交渉を弁護士に依頼するのと自分で紛争処理センターを利用するのとどちらが良いのか迷ってしまうケースがあります。
以下で、判断の基準をご紹介します。

9-1.弁護士は、自分の味方になってくれる

弁護士の味方
弁護士に示談交渉を依頼すると、完全に自分の味方になってくれる点が大きなメリットです。
自分で雇った弁護士ですから、完全にこちらに肩入れしてくれますし、こちらが有利になるように戦略を立てて、示談交渉を進めてくれます。
そこで、有利な条件で示談ができる可能性が高くなります。
また、弁護士に依頼すると自分は相手と話をしなくて良いので、何もせずに待っていたらよいだけになり、非常に手間が省けます。
わざわざ紛争処理センターに足を運んで痰と弁護士に説明をする必要はありませんし、相手の言い分に対して反論を考える必要もありません。
このようなことを考えると、自分一人で紛争処理センターを使って解決を目指すより、弁護士に示談交渉を依頼した方が有利になりやすいです。

9-2.弁護士のデメリットは、費用がかかること

ただ、弁護士に示談交渉を依頼すると費用がかかる点がデメリットです。
示談交渉の費用は、世間で思われているほど高額にならないことも多いのですが、最低でも10万円程度はかかるでしょう。

9-3.紛争処理センターの手続きを弁護士に依頼する方法もある

交通事故紛争処理センターの手続きを利用するときにも、弁護士に依頼することができます。
センターの弁護士は中立の立場なので、被害者の味方になってくれませんが、自分の弁護士を雇っていたら、弁護士がセンターでの必要な主張などもすべてしてくれるので、非常に心強いです。

9-4.弁護士費用特約を使って弁護士に依頼しよう!

弁護士を雇うと有利になることはわかっていても、費用がかかるのがネックだという方は多いでしょう。
そんなときには、自分の自動車保険に「弁護士費用特約」がついていないかどうかを調べてみましょう。
弁護士費用特約に加入していたら、300万円までの弁護士費用については、自分の保険会社が負担してくれるのです。
今は多くの自動車保険に弁護士費用特約がセットになっていて、加入率も高いのですが、意外と気づいておらず、利用しない方が多いです。
自分だけではなく家族の保険の弁護士特約を使えることも多いです。
また、交通事故問題に積極的に取り組んでいる弁護士は、相談料を無料にしていることも多いです。
交通事故問題で相手と話ができずに困っているなら、まずは交通事故問題に強い弁護士に相談しましょう。
 

まとめ

今回は、交通事故紛争処理センターについて解説しました。
センターを利用すると、担当弁護士が法的な観点から解決に導いてくれますし、費用も全くかからないのでメリットが大きいです。
できれば弁護士に依頼して手続きしてもらうと心強いので、迷ったときには一度弁護士の無料相談を受けてみましょう。
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