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交通事故の「損害賠償請求訴訟」の進め方と費用は?

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損害賠償の手続きする女性
交通事故で被害者が1人で示談交渉をしていると、相手は示談金を大きく値切ってくるので、被害者としては納得できないことも多いです。
そんなときには、相手に対して裁判を起こさないといけません。
ただ、裁判をするとしても、具体的にどのような方法で進めたら良いのかわからないし、手続きがどのように進んでいくのか知らないから不安!という方もたくさんおられると思います。
そこで今回は、交通事故の損害賠償請求訴訟の進め方とかかる費用について、解説します。

1.交通事故では、相手と示談できるとは限らない!

一般的に、交通事故で被害者になったら、相手の保険会社と示談交渉をして、慰謝料などの賠償金を支払ってもらえると思われています。
実際、多くのケースでこの流れは正しいのですが、必ずしも示談が成立するわけではないので、注意が必要です。
示談交渉は、交通事故の賠償金を決定するための話合いの手続きですが、示談が成立するためには、被害者と保険会社の意見が合致して「示談が成立」する必要があります。
しかし、保険会社は、なるべく支払いを減らすために賠償金を値切ってくるので、被害者としては、提示を受けた賠償金の金額に納得できないことも多いです。
納得ができないなら、示談は成立しないので、被害者は相手の保険会社から賠償金を支払ってもらうことはできません。
 

2.示談できない場合に選べる選択肢

それでは、交通事故で相手から提示された示談金に不満がある場合、どのような方法で相手に対して賠償金の支払い請求をしたら良いのでしょうか?
この場合、主に3つの選択肢があります。

  • 調停
  • ADR
  • 裁判(損害賠償請求訴訟)

2-1.調停

調停とは、簡易裁判所で行う手続きで、裁判所の調停委員や裁判官に間に入ってもらい、話合いをすすめる方法です。
調停委員は交通事故に詳しい弁護士などが担当することが多く、裁判官も法律のプロなので、法的に妥当な内容での解決が図りやすいです。
また、間に人が入ることにより、冷静に話を進めることも可能です。
ただ、調停は話合いの手続きですから、調停委員や裁判官も、当事者に無理矢理結論を強制することはできません。
当事者双方が最終的に納得しなければ、調停で合意することはできず、不成立となってしまいます。
調停が不成立になったら、何も決まらないので賠償問題を解決することはできません。

2-2.ADR

次に、ADRという手段があります。ADRとは、裁判外の紛争解決機関です。
裁判所ではない機関に間に入ってもらい、話合いや審査などの調整をしてもらうことにより、交通事故問題を解決します。
交通事故のADRにはいくつかの種類がありますが、特に有名でよく利用されているのは、交通事故紛争処理センターのADRと、日弁連(日本弁護士連合会)の交通事故法律相談センターのADRです。
どちらの場合にも、交通事故の経験豊富な弁護士が間に入って相手との調整を進めてくれますし、話合いで合意ができない場合には、センターに審査請求をして、賠償金の計算方法や金額を決定してもらうことができます。
ただ、当事者が異議を申し立てたら、審査は確定しないので効力を失い、何も決まらないことになります。

2-3.裁判(損害賠償請求訴訟)

3つ目の方法が、裁判です。交通事故における、相手に賠償金を請求するための民事裁判のことを、損害賠償請求訴訟と言います。
損害賠償請求訴訟は、調停やADRとは異なり、話合いの手続きではありません。
当事者がお互いに自分の請求内容を、法的な根拠をもって主張し、立証します。
相手が反論してきたら、再反論をして、お互いに主張取立証を繰り返していきます。
最終的に争点が整理できたら、裁判所が判決で賠償金の計算方法や金額を決定します。
裁判所の判決は終局的なものとなるので、他の機関に不服を申し出ることはできません。

2-4.最終的には裁判が必要

このように、相手と示談ができない場合には、調停とADRと損害賠償請求訴訟の3種類の手続きから選択することができますが、調停やADRの場合、利用しても最終的に問題を解決することができない可能性があります。
調停は、そもそもお互いが合意しないと成立しないので意味がありませんし、ADRでも、当事者が納得しないと解決にはつながりません。
調停やADRをしても解決ができなかった場合には、損害賠償請求訴訟をすることにより、賠償問題を解決する必要があります。
損害賠償請求による裁判所の判決は終局的なもので、従わざるを得ないものです。
そこで、相手とどんなにもめて、トラブルがこじれてしまっても、最終的に裁判さえしたら、問題を解決することができます。
もし裁判がなかったら、いつまで経っても賠償問題を解決できませんし、相手から賠償金の支払いも受けられなくなってしまうので、損害賠償請求訴訟は非常に重要です。
そこで、この手続きについて、もっと詳しく知っておきましょう。
 

3.裁判のメリット

裁判のメリット
まず、交通事故で裁判(損害賠償請求訴訟)をすると、どのようなメリットがあるのかを説明します。

3-1.終局的に問題を解決できる

まず、終局的に賠償問題を解決できることが、大きなメリットです。
裁判所には、一審(地方裁判所や簡易裁判所)と二審(高等裁判所や地方裁判所)、三審(最高裁判所または高等裁判所)がありますが、これらによって確定した判決には絶対的な効果があります。
確定判決に不服があるからと言って、他の機関に不服申立をして審査してもらったり決め直してもらったりすることはできません。
相手とどんなに酷いトラブルになっていても、とりあえず裁判さえしたら最終的に問題を解決できることは、大きなメリットです。

3-2.相手の合意が要らない

次に、相手の合意が要らないことにも注目すべきです。
示談交渉や調停、ADRなどでは、解決するためにお互いが納得することが必要です。
時間と労力をかけて調停やADRを進めてきても、相手が合意してくれないと、すべてが無駄になってしまいます。
また、相手が無理な主張をしていても、そのような主張を辞めるように強制することはできません。
これに対し、裁判をすると、裁判所は相手の意向とは無関係に適切な判断をしてくれるので、妥当な解決ができます。

3-3.弁護士基準で賠償金を計算できる

裁判をすると、裁判所は賠償金の計算の際「弁護士基準」という基準を使ってくれます。
弁護士基準とは、過去の裁判所の判例などによって積み重ねられてきた法的な基準のことです。
実は、交通事故の賠償金の計算基準には、自賠責基準と任意保険基準と弁護士基準の3種類があります。
最も適正なものは弁護士基準なのですが、被害者が相手の保険会社と示談交渉をするときには、相手は低額な任意保険基準や自賠責基準を使って賠償金を計算するので、大きく金額を下げられてしまいます。
調停やADRをするときにも、必ずしも弁護士基準で計算してもらえるとは限りません。
ここで訴訟をすると、裁判所は弁護士基準しか使いませんから、必ず高額な弁護士基準で賠償金を計算してもらえて、金額が上がります。
示談交渉で、相手が不当に賠償金を値切っている場合には、弁護士に依頼して訴訟をすると、賠償金の金額が2倍、3倍になる可能性もあります。

3-4.相手が支払わない場合、強制執行ができる

事故の相手が保険に入っていて、保険会社相手に示談交渉をする場合には、示談が成立したら必ず支払をしてもらうことができますが、相手方が無保険で、資力がないケースなどでは、示談をしても相手が支払いをせずに逃げてしまうおそれがあります。
ここで訴訟をすると、裁判所が判決を出してくれるのですが、裁判所の判決書には強制執行力があります。
これは、相手の資産を差し押さえるための効力です。
そこで、裁判に勝訴した後相手が支払をしないときには、相手の預貯金や不動産、給料などを差し押さえて債権回収することができます。
このように、支払いが担保されることも、損害賠償請求のメリットと言えるでしょう。
 

4.裁判のデメリット

それでは、裁判にはデメリットはないのでしょうか?以下で順番に見ていきましょう。

4-1.長期間がかかる

何となく知っているという方も多いと思われますが、裁判には非常に長い時間がかかります。最低半年、長い場合には1年以上かかることもあります。
小さい事故なら早く進めてくれるということもなく、同じように時間がかかります。
たとえば、たった10万円を回収するために、1年かけて必死で裁判をするなど、ばかばかしいと思ってしまう人が多いのも事実です。

4-2.労力がかかる

裁判には、非常に大きな労力が必要です。
まず、法律的に自分の主張をまとめた訴状を作成しなければなりませんし、証拠も揃えないといけません。
証拠は、まったく同じものを2部作成して提出する必要があります。
相手から反論が出てきたら、それに対する反論書を作成して、また自分の主張を補強する証拠を探して資料化し、裁判所に提出しなければなりません。
不備があったら裁判所から指摘があり、補正をするように指示されますし、補正しないと手続きが進まなくなったり、不利になって負けてしまったりします。
また、裁判の終局場面では、当事者や関係者の尋問が行われますが、この準備もかなり大変です。
尋問前の1週間などは、緊張して眠れなくなる人もいますし、当日あがってしまって妙な態度になり、不利になってしまう人もいます。
このように、裁判をするときには、多大な手間と負担がかかることを覚悟しなければなりません。

4-3.費用がかかる

裁判には、相当な費用がかかります。
まず、裁判所に納める実費(収入印紙)や予納郵便切手の費用もかかりますし、何より弁護士費用が高額です。
示談交渉では弁護士費用が安くても、訴訟となると数十万円単位で費用がかかってしまう弁護士事務所も多いです。
このように、訴訟をするときには、時間も労力も費用もかかるので、訴訟をするなら、一定以上の高額な賠償金を請求する事案において、お勧めします。

4-4.勝てるとは限らない

損害賠償請求訴訟をすると、相手が合意しなくても裁判所が支払い命令を書いてくれるので助かるのですが、それは被害者が適切に主張と立証をすることができた場合です。
被害者が効果的に訴訟活動を進めることができなかったら、裁判所は被害者に有利な判決を書いてくれず、逆に相手を勝たせてしまうこともあります。
被害者が裁判で負けたら、示談で合意していた方が高い賠償金を得ることができたということにもなりかねません。
1年近く時間をかけて、労力をつぎ込んで必死で裁判をしても、結局示談した方が得だったということになってしまったら、一体何をしていたのかわからなくなってしまいます。
 

5.損害賠償請求訴訟を有利に進めるには、弁護士が必要!

5-1.弁護士に依頼して、確実に訴訟を進めよう

弁護士に依頼
損害賠償請求は、上手に使うと高額な賠償金を認めてもらえるので非常に助かりますが、失敗するとかえって賠償金を下げられて損になってしまうリスクがあります。
失敗をせず、高額な賠償金の支払をしてもらうためには、どのような工夫をすれば良いのでしょうか?
最も確実なのは、弁護士に手続を依頼することです。
弁護士は、訴訟のプロですから、適切な主張方法や証拠の揃え方、提出方法や提出すべきタイミングなどを把握しており、有利に訴訟を展開することができます。
そこで、最終的に勝訴して、高額な賠償金の支払いを受けることが可能になります。
また、弁護士に訴訟を依頼すると、すべての手続きを弁護士が代行してくれるので、依頼者自身はほとんど何もする必要がなくなり、非常に楽で労力も不要です。
確かに裁判には時間がかかりますが、弁護士に任せていたら勝手に進めてくれるので、被害者は普段通りの生活を続けていたら良いだけであり、デメリットを感じることは少ないです。
弁護士に依頼すると費用がかかりますが、一定以上の賠償金を求める事案であれば、かかる弁護士費用以上の見返りがあるため、費用を支払うデメリットを気にする必要もありません。

5-2.交通事故問題に強い弁護士を選ぼう!

ただ、弁護士には得意分野があり、どのような弁護士でも効果的に交通事故の裁判を進めてくれるとは限りません。
交通事故の損害賠償請求訴訟を依頼するなら、交通事故問題を得意とする弁護士を選んで手続きをしてもらいましょう。
 

6.損害賠償請求の申し立て方法

損害賠償請求訴訟をしたいとき、どのようにして申し立てをしたら良いのか、ご説明します。
裁判をするときには、まずは「訴状」を作成します。
訴状とは、相手に請求したいことと、請求についての法的な理由をまとめた書類です。
弁護士に依頼したら、適切に作成してもらえるので心配する必要はありません。
また、証拠も揃える必要があります。
たとえば交通事故証明書や実況見分調書、診断書や診療報酬明細書、後遺障害の等級認定結果など、さまざまなものがあります。
証拠についても、弁護士に依頼していたら、適切に揃えて提出してくれるので、安心です。
訴状と証拠がそろったら、相手に請求する金額に応じて収入印紙を購入し、予納郵便切手を添えて裁判所に提出します。
弁護士に依頼していたら、こういった申し立ての手続きも全て代行してもらえるので、依頼者は何もする必要はありません。
 

7.損害賠償請求訴訟の流れ

次に、損害賠償請求を申し立てた後の手続きの流れを確認しましょう。

7-1.申し立てから第一回期日

申し立てをすると、弁護士宛に裁判所から連絡が来て、期日の調整を行います。
これにより、第一回の裁判期日が決まります。そして、第一回期日までの間に被告(相手)から「答弁書」が提出されます。
答弁書には、相手の反論が記載されています。

7-2.期日でのやり取りと弁護士からの報告

弁護士に依頼している場合、依頼者本人は裁判の期日に出頭する必要がありません。
相手が保険会社の場合、ほとんど必ず相手も弁護士に依頼しますが、その場合には相手も期日には来ません。
弁護士同士のやり取りになります。そして、期日の内容は、弁護士から報告書によって報告を受けることとなります。
相手から反論が提出されたら、その次の期日までに再反論の書類を作成します。
これについても、弁護士と打ち合わせをして、弁護士が作成してくれます。
このように、主張と立証を繰り返して争点が整理されたら、最終的に当事者の尋問を行います。尋問が終わったら、裁判所が判決をして、裁判が終結します。

7-3.判決と支払い、清算

相手が保険会社の場合、判決があるとしばらくして支払をしてくれます。
このとき、弁護士が支払いを受けて、入金が正しく行われているかどうかを確認します。
弁護士費用と清算をしてから残りのお金を依頼者に返金してくれます。
相手が本人の場合には、弁護士が相手と話をして支払をしてもらいます。
相手が判決に従わない場合には、相手の資産を調べて差押えを行うことにより、回収します。
 

8.損害賠償請求訴訟の費用

損害賠償請求訴訟を行うときには、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?
このとき、実費と弁護士費用がかかります。

8-1.実費

実費は裁判所に支払う収入印紙代と郵便切手代、記録の謄写費用が主となります。
収入印紙代は、相手に請求する金額によって異なり、請求金額が大きければ大きいほど金額が上がります。
たとえば500万円の請求をするときには30000円、1000万円の請求をするときには50000円、3000万円の請求をするときには110000円です。
予納郵便切手代は裁判所によっても異なりますが、だいたい5000円~6500円くらいです。
記録の謄写費用とは、裁判所の記録をコピーする費用のことですが、だいたい1万円~2万円くらいです。

8-2.弁護士費用

弁護士費用は、相手に請求する金額によって大きく異なります。
訴訟を起こすときに、請求金額の3~8%程度の金額がかかり、相手から支払いを受けられた時点で6~16%程度の金額がかかることが多いです。
たとえば1000万円の請求をするときには、当初に着手金60万円程度がかかり、回収ができたときに120万円くらいかかるイメージです。
それでも、弁護士に訴訟を依頼することで訴訟を有利に進めることができ、大きく賠償金がアップするので、損になることはありません。
 

9.訴訟を弁護士なしで進めることは可能か?

訴訟を弁護士なしで進めることは可能か?
訴訟の弁護士費用は結構高額になるので、自分で手続きをしたいと考えた人がいるかも知れません。
訴訟を弁護士なしで進めることはできるのでしょうか?
できるかできないか?
と聞かれたら、答えは「できる」ということになります。
しかし、絶対にお勧めはしません。
訴訟を自分で進めると、極めて不利になるからです。
そもそも訴状の作成方法からして迷ってしまうでしょうし、効果的な証拠の出し方もわからないでしょう。
相手の主張に対する適切な反論方法もわからず、自分でも気づかないうちにどんどん訴訟が不利になっていって、気がついたら敗訴判決が出ていた、ということになります。
特に相手が弁護士をつけている場合に、自分だけ弁護士をつけていないのは、「どうぞ、負けさせて下さい」と言っているのに近いです。
弁護士なしで訴訟をするなら、いっそのことはじめから訴訟をしない方が良いくらいです。
訴訟をするなら、必ず交通事故問題に強い弁護士を探して依頼すべきです。
 

10.訴訟にかかる弁護士費用を用意できない場合の対処方法

訴訟をするとき、弁護士に依頼したら結構な費用がかかるので、やっぱり辞めておこうかな、と思った人にお知らせしたい情報があります。
弁護士費用が用意できないと思った場合に参考にして下さい。
まずは、無料相談です。
今は多くの弁護士が無料で交通事故の相談に応じているので、交通事故問題で悩んだときには、まずは無料相談できる事務所を見つけて弁護士のアドバイスを受けましょう。
このとき、かかる弁護士費用についても尋ねて、なるべく安い事務所に依頼すると良いです。
また、弁護士費用特約についても知っておいていただきたいです。
これは、自分の自動車保険についている特約で、交通事故でかかった弁護士費用について、自分の保険会社が負担してくれる特約です。
弁護士費用特約を利用したら、自分では弁護士費用を支払わなくて良いので、タダで弁護士に訴訟をしてもらえるイメージです。
また、着手金無料の弁護士を利用すると、当初の着手金が不要で、相手から支払いを受けられたときに報酬金を支払うだけなので、当初にお金がなくても弁護士に依頼することができて助かります。
このように、お金がなくても弁護士に損害賠償請求をしてもらうことは可能です。あきらめないで、適切な賠償金の支払いを受けましょう。
 

まとめ

今回は、交通事故の損害賠償請求訴訟について、解説しました。
相手との示談交渉が決裂したら、訴訟をして適切な金額の支払いを受ける必要があります。
訴訟を有利に進めて確実に賠償金の支払いを受けるためには、交通事故に強い弁護士を探して手続を依頼する必要があります。
自動車保険の弁護士費用特約を利用するか、弁護士のホームページをチェックして、無料相談ができる事務所を探して、まずは弁護士のアドバイスを受けるところから、始めましょう。
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