むちうち PR

交通事故で多い「むちうち」とは?どんな損害賠償を受けられる

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

交通事故でむちうちの症状
交通事故で首や腰のあたりに衝撃を受けると、その後「むちうち」の症状が出ることが多いです。
むちうちという言葉を耳にしたことはあっても、それがどういった症状で、どういったメカニズムによって起こるのかは、あまり理解されていないのではないでしょうか?
また、むちうちになったらどの程度の損害賠償請求をしてもらえるのかも抑えておくと安心です。今回は、交通事故後の症状で特に多い「むちうち」について解説します。

1.むちうちとは

交通事故でケガをすると「むちうち」になってしまうことが非常に多いです。
むちうちは、自動車に乗っているときに後ろから追突されたときなどに発症します。
首がむちのような形にしなってしまうため、頸椎が損傷を受けて発症します。
むちうちというのは正式な名称ではなく、医学的には、「頸椎捻挫」や「頸部挫傷」「外傷性頸部症候群」などの診断名となります。
そこで、交通事故後、医師が作成してくれた診断書に、こういった症状名の記載があったら、むちうちになってしまったということです。
また、むちうちになるとき、同時に腰椎捻挫を発症することもよくあります。
頸椎捻挫が首のあたりにある頸椎の損傷であるのに対し、腰椎捻挫は、腰のあたりにある腰椎の損傷です。
症状は非常によく似ており、認定される後遺障害の内容や等級も同じです。

2.むちうちになりやすいケース

交通事故の中でも特にむちうちを発症しやすいケースは、追突事故です。
後ろから急に追突されると、首や腰の骨が不自然な形にしなってしまうからです。
また、追突に限らず突然衝突されたときにも、やはり頸椎や腰椎が損傷を受けやすいので、むちうちを発症しやすいです。
さらに、事故を避けるためなどで急停車した場合にも、むちうちを発症することがあります。

3.むちうちのいろいろな症状

むちうちになると、どのような症状を発症することが多いのでしょうか?
実は、むちうちにはいくつかのパターンがあり、症状を分類することができるので、以下ではそれぞれについて確認していきましょう。

3-1.頚椎捻挫型

頸椎捻挫型は、むちうちの中で最も多い症例です。
全体の70%~80%は、この頸椎捻挫型のむちうちです。
頸椎周辺の筋肉や靭帯、軟部組織が損傷するもので、症状としては、首や背中の痛みや肩の痛み、コリなどです。
首を伸ばすと痛みが強くなる傾向があります。
また、首や肩の可動域が制限されてしまうケースもあります。

3-2.神経根症状型

神経根症状型は、神経根が引き伸ばされたり、圧縮されたりして発症するものです。
首や腕の痛み、しびれやだるさを感じたり、後頭部の痛みや顔面痛を感じたりすることが主な症状となります。
症状は、咳やくしゃみをしたときや、首を横に曲げたとき、回したときなどに強くなります。

3-3.バレー・ルー症状型

バレー・ルー症状型は、事故による衝撃により、自律神経まで傷ついてしまったときに発症する症状です。
椎骨動脈という血管内の血流が低下して起こるもので、後部交感神経症候群とも言います。症状としては、頭痛、めまいや耳鳴り、吐き気、息苦しさなどがあります。
頚椎に沿って走っている椎骨動脈の血流が低下し、 頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気などの症状が現れると考えられています。

3-4.脊髄症状型

脊髄症状型は、衝撃によって脊髄までが損傷してしまう場合の症状です。
頸椎の脊柱管という管を通っている脊髄が傷ついたときや、下肢にむかっての見ている神経が損傷を受けて発症します。
症状は非常に重篤で、下肢にマヒが残ってしまったり知覚障害や歩行障害が起こってしまったりすることもあります。
膀胱や直腸の障害が発生して、尿や便が出にくくなってしまうケースもあります。

3-5.脳髄液減少症

脳髄液減少症は、むちうちの中でも非常に重篤な症状ですが、そう滅多にあるものではなく、非常に珍しいです。
事故の衝撃によって脳髄液が漏れてしまい、様々な症状を発症します。
初期に頭痛が起こるのが特徴的ですが、その後は多彩な症状が発生します。
たとえば全身の痛みや聴力、視力の低下、味覚障害や倦怠感、自律神経症などが起こります。
また、脳髄液減少症になると、天候によって症状が左右されやすく、特に気圧の変化による影響を受けやすいという特徴があります。

4.むちうちかどうかのチェックリスト

むちうちチェックリスト
交通事故後、自分ではむちうちになっているかどうかがわからないことがあります。
そこで、以下ではむちうちのセルフチェック方法をご紹介します。

  • 背中、肩などの痛み、凝りが続く
  • 頭痛
  • 耳鳴り
  • めまい
  • 吐き気
  • 手足の痺れや震えがある
  • 食欲不振
  • 脱力感、疲労感、不眠などが続いて体調が優れない
  • 集中力の低下、長時間の作業ができない
  • 症状に波があり、長期に及んでいる
  • 痛む場所がときによって変わる

むちうちは、自分では気づきにくく「何となく体調が悪い」で終わらせてしまうことも多いので、上記のような点に当てはまる場合には、専門の医療機関で診察を受けてみることをおすすめします。

5.むちうちの検査方法

交通事故に遭ってむちうちを発症したら、症状を明らかにするために検査をしなければなりません。
むちうちは、検査方法を工夫しないと症状を証明できないこともあるので、適切な検査方法を把握しておくことが重要です。

5-1.レントゲン検査

レントゲン検査は、一般的なむちうちの検査方法です。
事故後に病院に行って追突事故に遭ったと言うと、まずはレントゲン検査をされることが多いです。レントゲンでは、頸椎の骨折や脱臼、椎間板や筋肉、じん帯などの損傷の有無を調べることができます。
ただ、むちうちの症状が軽度な場合には、レントゲン撮影をしても異常が発見されず、「単なる頚椎捻挫」と判断されてしまうことが多いです。
レントゲンは、主に骨折や骨の異常が起こっていないかどうかを確認するための検査方法なので、血管や神経、椎間板や軟部組織などは写らないのです。
そこで、むちうちの検査をするとき、レントゲン検査には限界があると言えます。

5-2.MRI画像診断

むちうちの原因は、神経や椎間板などの軟骨部分の損傷です。
そこで、レントゲン検査よりも、むしろこういった組織の損傷を調べることができるMRI画像診断が有効です。
MRIは、血管や神経、椎間板などの組織を撮影することに長けた検査方法です。
任意の断層面を写すことができますし、横断面だけではなく矢状面や冠状面でも画像を確認することができます。
MRI検査を行うと、椎間板ヘルニアや、脊髄、神経根の圧迫の有無などを詳細に調べることができます。

5-3.MRI検査の限界

それでは、MRI検査をすると、必ずむちうちを発見することができるのでしょうか?
実は、そういうわけにはいきません。
むちうちで手足にしびれが発症している場合(神経根型のケース)、MRIを使っても症状を見つけられないことがあります。
特にMRI検査機器の精度が低いと、異常が写らない例が多くなります。
その場合、むちうちの痛みやしびれなどの症状を訴えても異常が見られないので「精神的な問題」として片付けられてしまったり「原因不明」とされてしまったりすることになりがちです。
MRI検査機器の解像度は、1.5テスラと0.5テスラのものが主流です。
解像度が高いのは1.5テスラのものです。そこで、かかった医療機関で利用されたMRI検査機器が0.5テスラの場合、異常が発見されない可能性が高くなってしまいます。
その場合、別の医療機関で1.5テスラの機器を使って撮影してもらうと、神経根の圧迫を発見できるケースがあります。

5-4.神経学的検査

むちうちの検査方法としては、上記の画像診断では不十分なケースが多いです。
特に軽度のむちうちの場合、レントゲンやMRIを使っても、異常が写らないことがあります。
その場合には、「神経学的検査」という方法で、むちうちを証明することができる例があります。
神経学的検査というのは、患者に対する観察や触診を実施したり、脊髄反射検査や姿勢反応、脳神経検査を併用したりして、異常を発見する検査方法です。

5-5.電気生理学的検査、造影検査

さらに、電気生理学的検査や造影検査を試すことも有効です。
電気生理学的検査とは、電気刺激を与えることによって行う検査方法で、たとえば筋電図検査があります。また、知覚検査や造影検査を行うこともあります。

6.むちうちで役に立つ神経学的検査

神経学的検査
以下では、神経学的検査の具体例をご紹介します。

6-1.腱反射テスト

腱反射テストとは、人の膝の下をゴム製のハンマーで叩き、正常な反射が起こるかどうかを調べるテストです。
通常の場合であれば、人は、膝の下をハンマーでたたかれたら、反射的に膝が跳ね上がるようになっています。
しかし、むちうちなどで異常が発生していると、反射が低下・消失していることがありますし、反対に反射が強くなりすぎるケースもあります。
どちらのケースも、中枢神経に異常が発生していることとなります。
腱反射テストを行うときには、左右の反応を比較することによって判断します。
明らかにどちらかの腱反射が鈍い場合、鈍い方の末梢神経や神経根に異常が発生している可能性が高くなります。
反射は患者の故意によってコントロールすることができないので、後遺障害認定の場面でも重要視されます。

6-2.スパーリングテスト

スパークリングテストを行うときには、患者がイスなどに座った姿勢になり、医師が後方から患者の頭部を持ちます。
そして、痛みやしびれがある側に傾けて、圧迫します。
このとき、その神経根の支配領域がある上肢の部分に痛みやしびれが顕れます。
痛みやしびれが起こった部位により、どの神経根に異常が起こっているのかも予測することができます。
ただし、スパークリングテストで「痛い」とか「しびれが強くなった」というのは、患者の自己申告なので、患者の意図によって操作される可能性はあります。
その意味では、スパークリングテストの信用性や重要性は、画像診断や腱反射テストよりは低くなります。

6-3.ジャクソンテスト

ジャクソンテストはスパーリングテストと似た方法による検査手法です。
患者を座らせて、医師が患者の頭を持ち、後に傾け、押しつけます。
このことで、患者が感じる痛みやしびれなどの症状が強くなったら、陽性(異常がある)ということです。スパーリングテストと同時に行われることが多いです。

7.むちうちで役立つその他の検査

次に、むちうちの証明に役立つ電気生理学的検査や造影検査などのその他の検査方法をご紹介します。

7-1.筋電図検査

筋電図検査とは、筋肉が収縮するときに発生する電位を測定する検査方法です。
人間が筋肉を動かすと、筋肉から電気が発生するので、その電気を記録します。
このことにより、しびれや筋力低下などの症状が出ているときに、筋肉に異常があるのか神経に異常があるのかを明らかにすることができます。

7-2.神経伝達速度検査

神経伝達速度検査は、神経の伝わり方に異常がないかを調べるための検査です。
同じ神経の2つの点に電気刺激を与えて、その結果の時間的なずれにより、神経の伝わり方に途切れなどの異常がないかを調べます。異常がある場合には、神経の伝わり方が遅くなります。

7-3.知覚検査

知覚検査は、触覚や痛覚、温度の感覚や振動の感覚などを調べる検査手法です。
神経障害と知覚異常には関連性があるので、知覚障害を調べると、神経の障害を知るのに役立つのです。
知覚検査は、筋電図検査や神経伝導速度検査の前に実施することが多く、知覚検査で異常がある場合に筋電図検査等が実施されます。

7-4.皮膚温検査

皮膚温検査は、皮膚の温度の異常をしらべる検査手法です。
末梢神経に障害が発生すると、血流に影響が及んで皮膚の温度が低下することがあるためです。
サーモグラフィーなどによって表皮の温度をはかります。

7-5.造影検査

造影検査は、特に画像を撮影したい部分に造影剤を入れて行う撮影方法です。
対象の部分をピンポイントで狙って写し出すことができます。
このことにより、異常を明確に把握しやすくなります。

むちうちの検査をするとき、上記のような検査がすべて必要というわけではありません。主要なものだけで症状を証明することができることもあります。
ただ、反対に、上記の検査を併用しても、必ずしもむちうちを証明できないケースもあります。
むちうちの検査を行うときには、医師の指導と意見に従って、ケースに応じた有効な方法を選んで実施する必要があります。

8.むちうちの治療を行う医療機関

次に、むちうちの治療方法をご紹介します。
むちうちになった場合、治療の基本は整形外科です。
これに足して、整骨院や鍼灸院での治療を行うこともあります。
以下で、それぞれの医療機関について、確認していきましょう。

8-1.整形外科

整形外科は、病院です。
むちうちになったら、まずは整形外科を受診しなければなりません。
整形外科では、骨や筋肉、軟骨組織等の異常を発見し、治療してもらうことができます。
そこで、整形外科に行くと、レントゲン検査やMRI検査などの必要な検査を受けることができますし、必要に応じて手術や投薬等の処置も受けることができます。
担当する人は「医師」であり、医師による診察を受けて、適切な指導をしてもらうことも可能です。
整形外科でもリハビリを受けることができる施設がありますし、治療方針や経過などについても説明してもらうことができます。

8-2.整骨院・接骨院

むちうちで肩や首の痛み、しびれやコリなど症状が出ているなら、整骨院や接骨院への通院が有効なケースがあります。
これらの院では、マッサージ治療や電気刺激による治療などが主となります。
担当してくれる先生は、柔道整復師の国家資格を持った人です。
ただし、医師ではないため医療行為としての治療はできませんし、各種の検査や投薬を行うこともできません。
整骨院や接骨院への通院は、あくまで副次的、補助的なものと考えましょう。

8-3.鍼灸院

むちうちで肩や首の痛み、手足のしびれや倦怠感などの症状がなかなか消えないときには、鍼灸院へ通院することもあります。
鍼灸院では、鍼(はり)治療やお灸による治療が行われます。
鍼灸治療院の先生も、整骨院と同様柔道整復師です。
そこで、整骨院と鍼灸院が分かれておらず、どちらの施術も受けられる院もあります。
ただ、鍼灸院も病院ではないので、症状の診断や投薬、検査などを行うことはできません。

8-4.交通事故直後は、必ず整形外科へ行く!

交通事故に遭って通院を開始するとき、まずは必ず整形外科に行かないといけません。
いきなり整骨院や接骨院、鍼灸院等に行くのはNGです。
整形外科に行っても、診察を受けることもできず、必要な治療を受けることができませんし、レントゲンやMRIなどの検査も受けることができません。
そうなると、事故直後の症状を証拠化することができず、後日後遺障害の認定を受けるときに、大きな障害となってしまいます。
また、いきなり整骨院に行って治療を受けた場合、健康保険の適用を受けられないおそれがありますし、相手の保険会社からも、治療費の支払いを拒絶されてしまうおそれがあります。

8-5.整骨院、鍼灸院に行きたい場合には、医師の同意をもらっておこう!

むちうちで整骨院や鍼灸院等の院に行くのは、事故後病院で治療を受けて、ある程度症状が落ち着いたタイミングです。
症状が落ち着くと、整形外科に通っても、シップをもらって痛み止めなどを処方してもらうだけで、あまり目立った治療効果が上がらなくなることがあります。
そのときには、整骨院で施術を受けることにより、症状が緩和されやすいです。
ただ、整骨院や鍼灸院等に通うとき、自己判断で勝手に通院を開始してはいけません。
そのようなことをすると、やはり健康保険が適用されなかったり、相手の保険会社から治療費を支払ってもらえなくなったりするおそれがあります。
また、病院の医師の機嫌を損ねて、医師との関係が悪化してしまうケースもあります。
そこで、整骨院等に通いたいと考えた場合、まずは担当医師に相談をして了承をもらいましょう。
そうすれば、相手の保険会社も「整骨院への通院は不要なものであり、治療費は支払わない」などと言うことはできませんし、健康保険も適用されるので、安心して通院することができます。

9.むちうちになっても自覚症状がない!?

驚き
むちうちになると、首や肩の痛みなどのいろいろな症状が起こりますが、これらは事故直後から発生することは少ないです。
むちうちでは、事故直後は痛みやしびれなどの自覚症状がまったくないケースがむしろ多数です。
そこで、事故現場では、「ケガをしていない」と考えてしまい、警察に「物損事故」として届出をしてしまいます。
すると、人身事故の事故証明が発行されず、相手にむちうちの治療費や入通院慰謝料などの損害賠償を請求できなくなってしまうおそれがあります。
また、自覚症状がないと、病院に行くこともありません。
そうすると、治療記録や検査結果が残らないために、後に「交通事故が原因でむちうちになった」ことを証明することが難しくなってしまうケースがあります。
そこで、追突事故や衝突事故等の被害を受けて、首や腰のあたりを打ったり違和感を感じた場合には、目立った外傷がなくても、自覚症状がなくても、必ず「人身事故」として届出を行いましょう。
そして、痛みやしびれがなくても、整形外科を受診して必要な検査を受けておくべきです。
このことにより、痛みが出てきたときにもスムーズに通院を継続することができますし、相手の保険会社に対しても、文句を言われることなく治療費の請求をすることが可能となります。

10.むちうちの治療中に「治療はもう終わり」と言われた!

10-1.むちうちで整骨院に通院していると、治療費の打ち切りに遭う!?

むちうちになって治療をしていると、相手の保険会社から「治療は終わり」と言われることがあります。
特に整形外科への通院を一服して整骨院への通院を開始して、長びいてきた頃に治療費の打ち切りを打診されることが多いです。
相手の保険会社がこのようなことを言うのは、支払う賠償金の金額を減らすためです。
被害者の治療期間が長引くと、その間にかかる治療費については、相手の保険会社が負担しなければなりません。
また、入通院慰謝料は入通院期間に応じて上がっていくので、通院期間が長引くと慰謝料が高額になります。そこで、相手は早期に治療をやめてもらった方が得になります。
加えて、整骨院での受診は、病院に比べて長びくことが多いことも、相手があせる要因の1つです。
病院治療は急性の症状を抱えた人に適切な処置を行い、回復させることが主となりますので、治療効果は劇的に顕れることが多く、治療期間もさほど長くはかかりません。
これに対し、整骨院での施術は、既に症状が落ち着いている人に対して施術を行い、症状を徐々に緩和していくことを目指すので、目立った効果が顕れず、いつまで通院が続くのかがまったくわからないケースなども多くなります。
そこで、むちうち患者が整骨院に通っていると、相手の保険会社は治療費を打ち切り、早期に治療を辞めるように迫ってくるのです。

10-2.症状固定するまで通院を継続する

ただ、相手の保険会社が治療費を打ち切っても、通院は最後まで継続すべきです。
通院治療が終了するのは「症状固定」したときです。
症状固定とは、それ以上治療を継続しても効果が上がらなくなった時点のことであり、症状固定に至ったかどうかについては、担当の医師が判断します。
そこで、むちうちになって整骨院に通っている場合にも、時折整形外科に通院して状況を報告し、症状固定時期の見込みについて確認しておきましょう。
医師が症状固定したと判断したら、そのときには通院を終了して後遺障害の等級認定請求を行い、相手との示談交渉の準備を始めます。

11.で受けとることができる賠償金の種類

むちうちになったら、どのような種類の損害賠償金を受けとることができるのか、以下でまとめます。

11-1.積極損害

まずは、積極損害が発生します。積極損害とは、事故によって被害者が支出を余儀なくされた費用についての損害です。具体的には、以下のようなものがあります。

  • 治療費
  • 付添看護費用
  • 入院雑費
  • 通院交通費
  • 文書料

11-2.消極損害

次に、消極損害があります。消極損害とは、交通事故があったために失われた利益のことです。
たとえば、事故前に働いていた人は、交通事故が起こったために働けなくなって、その分の収入が失われます。
この場合、積極的に支払が必要なわけではありませんが、本来もらえるはずのものがもらえなくなっているので損害が発生します。
消極損害としては、以下のようなものがあります。

  • 休業損害

むちうちの治療のためや体調不良で仕事を休んだら、その分の休業損害が発生します。

  • 後遺障害逸失利益

むちうちでも、後遺障害が残ることがあります。
その場合、後遺障害逸失利益が発生します。逸失利益とは、失われてしまった将来の収入のことです。
むちうちになると、身体の不調によって以前と全く同じように働くことは難しくなります。
そこで、労働能力が一部低下したと考えて、その低下分を相手に填補してもらうのです。それが、後遺障害逸失利益です。
後遺障害逸失利益の金額は、後遺障害の等級(ランク)によって変わります。
むちうちの場合、程度にもよりますが、数百万円程度になることが普通です。

11-3.精神的損害

精神的損害とは、いわゆる慰謝料のことです。
むちうちの場合、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料を請求できる可能性があります。

  • 入通院慰謝料

入通院慰謝料は、事故でけがをして入通院治療が必要になったときに請求できる慰謝料です。入通院期間が長くなればなるほど高額になります。
整形外科だけではなく、整骨院や鍼灸院に通院した場合にも入通院慰謝料は発生します。ただし、柔道整復師の資格のない人が開業している「整体院」や「カイロプラクティック」「マッサージ院」などに通っても、治療とはみなされないので入通院慰謝料が発生しませんし、治療費も支払われません。

  • 後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、むちうちで後遺障害が残った場合に支払ってもらえる慰謝料のことです。
認定される等級によって金額が異なります。
むちうちで多い14級の場合、後遺障害慰謝料の金額は110万円程度となりますし、より高い12級の認定を受けられた場合には、290万円程度の慰謝料を請求することができます。

まとめ

今回は、交通事故でよくある「むちうち」について、全般的に解説しました。
むちうちになると、いろいろな症状が発症するので、日常生活でも仕事上でも支障が発生することが多いです。
それにもかかわらず、検査結果にはなかなか顕れないこともあり、やっかいな症状です。
むちうちでは、事故当初の自覚症状がないケースも多いので、まずは確実に整形外科を受診して、診療記録を残しましょう。
その後適切な治療を受けて、症状固定したら相手との示談交渉を進めていきましょう。
示談交渉を有利に進めるためには、弁護士に依頼すると有効です。
むちうちになって対応に困っている場合には、まずは一度交通事故問題に強い弁護士に相談してみると良いでしょう。
 ↓ ベストな相談先がわからない場合はこちら