慰謝料 PR

主婦が交通事故被害に遭ったときの慰謝料と賠償金は?

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

悩む主婦
主婦が交通事故に遭ったら、それまでのように家事ができなくなりますし、育児などにも支障が発生します。
しかし、主婦は働いていないので、相手に対して請求できる賠償金が少なくなってしまうイメージもあります。
主婦が被害者の交通事故では、相手にどのくらいの賠償金を請求できるのでしょうか?
今回は、主婦が交通事故に遭った場合の慰謝料と賠償金について、解説します。

1.主婦が被害者の場合の積極損害

主婦が交通事故の被害に遭ったときにも、いろいろな損害が発生します。
病院で治療をしたら治療費が発生しますし、入院看護を受けたら看護費用もかかります。
入院したら雑費も必要ですし、通院するときに乗り物を使ったら通院交通費も必要です。
このように、交通事故が原因で、積極的に支払が必要になる損害のことを、積極損害と言います。
主婦が被害者の場合でも、こういった積極損害については、他の被害者と同じように支払いを受けられます。
積極損害の計算方法は、以下の通りです。

  • 治療費については実費計算
  • 入院付添費については1日6500円
  • 入院雑費については1日1500円
  • 通院交通費は実費計算、自家用車で通勤した場合には1キロメートルあたり15円のガソリン代
  • 通院付添費用は1日3300円
  • 文書料などについては実費
  • 装具や器具の費用は実費
  • 将来介護費用は、家族が介護する場合には8000円、職業介護人の場合には実費
  • 死亡した場合には、葬儀費用。だいたい150万円を限度とする。

また、主婦が子どもと一緒に交通事故に遭った場合には、子どもを病院に連れて行かないと行けないケースがあります。
子どもが小さい場合などには子ども1人で病院に通院することができないので、付添が必要だからです。
そういったケースでは、通院付添費用だけではなく、付添人の交通費が認められます。
 

2.主婦が被害者の場合の慰謝料

次に、主婦が被害者の場合の慰謝料がどのくらいになるのかを見てみましょう。
一般的に「主婦が被害者の場合、慰謝料が少なくなる」イメージがあります。
主婦は働いていないから、収入の高い男性などより賠償金が少なくなると思われているのです。
しかし、慰謝料は被害者がどのような人であっても同じです。
慰謝料とは、事故によって受けた精神的苦痛に対する賠償金であり、被害者の立場や年収によって変わるものではないからです。

2-1.入通院慰謝料

主婦が交通事故でけがをしたら、入通院慰謝料が認められます。
入通院慰謝料とは、交通事故で傷害を負ったことにより被った精神的苦痛に対する慰謝料です。
入通院の期間が長くなると、慰謝料の金額が上がります。

標準的な入通院慰謝料の金額

入通院慰謝料の金額は、定額化されており、一般的には次の通りの金額となります。
入院期間があると、通院期間より慰謝料が高額になります。

入院 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月 9ヶ月 10ヶ月
通院 53 101 145 184 217 244 266 284 297 306
1ヶ月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311
2ヶ月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315
3ヶ月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319
4ヶ月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 326 323
5ヶ月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325
6ヶ月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327
7ヶ月 124 157 188 217 244 266 286 301 316 324 329
8ヶ月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331
9ヶ月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333
10ヶ月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335

ケガの程度が酷い場合やケガの部位によっては、上記の金額が20%~30%程度、増額されることがあります。
また、受傷の程度が酷く緊急性を要する場合などで、麻酔なしで手術しなければならなかった場合や、困難なケースで何度も手術を繰り返したケースなどでも、上記の入院慰謝料が増額されます。
さらに、入院待機中の期間や、ギプスを固定するためなどで安静が必要な自宅療養期間については、入院期間として計算することがあります。

軽傷のケース

むちうちなどで、症状を外見から把握することができない場合(軽傷のケース)では、慰謝料の金額が通常基準の3分の2程度に減らされます。
金額的には、以下のような数値となります。

入院   1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月 9ヶ月 10ヶ月
通院 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195
1ヶ月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199
2ヶ月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201
3ヶ月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202
4ヶ月 67 955 119 136 152 165 176 185 192 197 203
5ヶ月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204
6ヶ月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205
7ヶ月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206
8ヶ月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207
9ヶ月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208
10ヶ月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209

 

治療を早期に打ち切った場合

主婦によくあるパターンですが、小さい子どもがいる主婦の場合などには、子どもの養育があるために、治療を無理に早期に打ち切ることがあります。
また、仕事をしている主婦の場合、仕事の都合でどうしても治療を途中で辞めてしまうこともあります。
その場合には、実際に治療をしていた期間の慰謝料(上記の表にもとづく金額)よりも増額することがあります。
ただ、治療を途中で打ち切ると、基本的には入通院慰謝料が減ってしまうので、治療は「症状固定」するまで(もしくは完治するまで)継続する必要があります。

弁護士基準で計算しよう

上記の入通院慰謝料の計算方法や考え方は、すべて「弁護士基準」という基準によるものです。
被害者が自分で相手の保険会社と示談交渉をするときには、より低額な任意保険基準という基準で計算されるので、入通院慰謝料の金額が大きく下がってしまいます。
適切な金額の慰謝料支払いを受けるためには、弁護士に示談交渉を依頼して、弁護士基準で計算をすることが必要です。

2-2.後遺障害慰謝料

主婦でも、交通事故によって後遺障害が残ることがあります。
たとえば、目が見えなくなることもありますし、片手が不自由になることもありますし、関節を自由に動かせなくなることもあります。
このように後遺障害が残った場合には、その内容や程度に応じて後遺障害慰謝料が氏は割れます。
後遺障害慰謝料の金額は、認定された後遺障害の等級によって、大きく金額が異なります。
具体的には、以下の通りの金額となります。

1級 2800万円
2級 2370万円
3級 1990万円
4級 1670万円
5級 1400万円
6級 1180万円
7級 1000万円
8級 830万円
9級 690万円
10級 550万円
11級 420万円
12級 290万円
13級 180万円
14級 110万円

この金額は、弁護士基準によって計算した数値です。

弁護士基準で計算すると、3倍になることも!

後遺障害慰謝料についても、弁護士基準で計算することが非常に重要です。
自賠責基準や任意保険基準で計算をすると、上記の金額の2分の1や3分の1程度に減ってしまうので、注意が必要です。
被害者が自分で示談交渉をすると、相手は低額な任意保険基準で計算してきます。
そこで、交通事故に遭った主婦がなるべく高額な慰謝料を受けとりたいなら、弁護士に示談交渉を依頼すべきです。

2-3.死亡慰謝料

死亡
主婦が交通事故で死亡すると、死亡慰謝料という慰謝料を請求することができます。
これは、被害者が事故で死亡したことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。
主婦の場合、死亡慰謝料の金額は、だいたい2000万円~3200万円程度となります。
数値にかなり幅がありますが、これは、同じ死亡事故でも事故の状況や家族の状況など、ケースによる違いがあるため、柔軟に対応するためです。
65歳以上の高齢の主婦の場合には1800万円〜2400万円程度になることもあります。

弁護士基準以外の基準で計算すると、どうなるの?

死亡慰謝料も、他の基準で計算すると、かなり金額が下がってしまいます。
自賠責基準の場合には、たった350万円しか認められません。
弁護士基準の6分の1~9分の1くらいの金額です。
任意保険基準でも1300万円~1600万円程度です。弁護士基準の2分の1程度の金額です。
そこで、主婦が死亡した場合でも、やはり弁護士基準を使って死亡慰謝料を計算することが重要です。

2-4.妊婦が交通事故に遭った場合

主婦が妊娠していた場合に交通事故に遭った場合、交通事故の影響により、子どもが障害を持って生まれてくることがあります。
すると、母親が受けとる慰謝料その他の賠償金が増額されることがあるのでしょうか?
これについては、子どもが生まれてきたか生まれてこなかったかにより、結論が異なってきます。

子どもが生まれた場合

子どもが生まれた場合には、子ども自身が相手に後遺障害にもとづく慰謝料や逸失利益等を請求することができます。
交通事故の賠償金は不法行為にもとづく損害賠償金ですが、法律により、不法行為時に胎児だったとしても、その後生まれてきた場合には、その子ども自身が損害賠償請求をすることが認められているためです。
そこで、交通事故後に子どもが無事に生まれてきた場合には、子どもに賠償金請求権が認められるため、別途母親の慰謝料を増額する必要はありません。

子どもが生まれなかった場合

これに対し、子どもが生まれなかった場合には、子ども自身が慰謝料を請求することができません。
不法行為にもとづく損害賠償請求ができるのは、あくまで生まれてきた後の「人」だからです。
妊婦が交通事故に遭うと、流産することも死産することもあります。
また、レントゲン検診その他の適切な処置・治療を受けるため、中絶を余儀なくされるケースもあります。
このようにして、子どもが生まれてこられなかった場合、母親は大きな精神的苦痛を被ることが明らかです。
そこでこの場合には、母親の慰謝料が増額されます。
具体的な増額幅はケースバイケースですが、交通事故の影響で子どもを死産した母親に、350万円程度の慰謝料を認めた例などがあります。
 

3.主婦が被害者の場合の休業損害

次に、主婦が被害者の場合の休業損害について、ご説明します。

3-1.主婦でも休業損害を請求できる

休業損害とは、交通事故によって働けない期間が発生したときに発生した減収分の損害です。
事故後、入院や通院によって会社に行けなくなった場合や自宅療養によって働けなくなった場合などに請求できます。
ただ、「減収分」ですから、事故前に実際に働いていた人が対象です。
無職無収入の人の場合には、休業損害は発生しません。
そうだとすると、主婦は働いていないから、休業損害を請求することはできないのでしょうか?
実はそのようなことはなく、主婦でも休業損害を請求することが認められています。
それは、主婦は現実的な収入がなくても、毎日家事労働をしているためです。
家政婦を雇ったら費用がかかることからわかるように、家事労働には経済的な価値があります。
そこで、主婦が交通事故によって仕事をできない状態になると、休業が必要になった日数分の休業損害が発生します。

3-2.主婦の休業損害の計算方法

休業損害
それでは、主婦の休業損害は、どのようにして計算するのでしょうか?
自賠責基準の場合、どのような人でも年収に関係なく1日あたり5700円と決まっています。
ただし、それ以上の収入があることを証明できる場合に限り、実収入を使って計算できるとされています。
主婦の場合には、現実に収入があったことを証明することは不可能ですから、一律5700円にされてしまいます。
これに対し、弁護士基準を使うと賠償金の金額を大きくアップしてもらうことができます。
弁護士基準で主婦の休業損害を計算する場合には、「賃金センサス」にもとづく平均賃金を用いて休業損害を計算するためです。
賃金センサスというのは、国(厚生労働省)が実施している統計調査にもとづく賃金の統計資料のことです。
専業主婦の場合には、全年齢の女性の平均賃金を使って収入を計算します。
これによると、だいたい1日1万円程度の金額になります。
そこで、専業主婦が休業損害を計算するときには、だいたい1日1万円程度として休業日数をかけ算すれば良いのです。

相手の任意保険会社は、自賠責基準で計算してくる

被害者が自分で相手の保険会社と示談交渉をするとき、相手はほとんどのケースで賠償金を低額な「自賠責基準」で計算してきます。
そうなると、1日あたり5700円にまで下げられてしまうので、休業損害が本来の4割程度減ってしまいます。
そこで、相手がこのような条件を出してきても、受諾すべきではありません。
弁護士基準の適用を主張し、相手が納得しないようであれば、弁護士に示談交渉を依頼する事をお勧めします。

3-3.兼業主婦の場合

主婦には、兼業主婦がいます。
パートなどの仕事をしながら主婦業をしている人です。
兼業主婦の場合、実収入があるので、1日あたりの基礎収入を、現実の収入で評価すべきなのでしょうか?
しかし、考えてみたらわかることですが、兼業主婦のパート収入は、非常に低いことが多いです。配偶者控除から外れないために、年間103万円以下に抑えている人もいるでしょう。
その場合、1日あたりの基礎収入は、2700円程度になってしまいます。
専業主婦の基礎収入が1万円にもなるのに比べて、極めて不公平になってしまうと思いませんか?
そこで、兼業主婦の場合にも、専業主婦と同様、全年齢の女性の平均賃金を使って計算します。
ただし、実際の収入が平均賃金の金額を超える場合には、実収入を基準にする、という方法で、この問題の解決を図っています。

3-4.男性の主夫の場合

家事労働者の休業損害については、男性が主夫業をしているときにも問題になります。
最近では、女性が働いて男性が家事をする、という家庭も見られます。
このようなとき、主夫が交通事故に遭ったら、主夫の1日あたりの基礎収入は、どのようにして計算されると思いますか?
先ほどの話の延長線上からすると、「全年齢の男性の平均賃金」を使うものと思いますよね?
それでは、全年齢の男性の平均賃金を使って基礎収入を計算するとどのくらいになるのか見てみましょう。
だいたい、1日あたり15000円程度になります。
主婦の場合の1.5倍になってしまうのです。
しかし、主婦も主夫も同じように家事労働をしているのですから、このような区別が発生するのは不合理です。
そこで、実際には、主夫の休業損害計算の際にも「全年齢の女性の平均賃金」を使って計算します。
男性であっても女性の平均賃金を使われるので、「間違っているのでは?」と思うかもしれませんが、間違いではないので、覚えておきましょう。

3-5.高齢の主婦の場合

主婦が高齢の場合には、1日あたりの基礎収入が減額されることがあります。
高齢の主婦の場合、家事が自分のためになっていることも多いですが、その場合、他人に労働力を提供しているわけではないので、経済的な対価性が薄くなってしまいます。
また、労働力自身も低下するので、若い人と同じように評価することが難しいです。
そこで、高齢の主婦の場合には、65歳以上の人の平均賃金を基礎収入としたり、全年齢平均の賃金を減額したりして、金額を調整します。65歳以上の平均賃金からさらに減額をすることもあります。
また、1人暮らしの女性の場合には、家事全体が自分のためのものになるので、休業損害は認められにくいです。

3-6.家政婦を雇った場合

家政婦
交通事故による影響で、主婦が家事をすることができない場合、家政婦を雇うことがあります。
その場合には、かかった家政婦の費用を相手に請求することができます。
家族と一緒に暮らしている女性であればもちろんのこと、1人暮らしの女性が事故に遭ったケースであっても、家政婦を雇ったらその費用分は損害と認められやすいです。
そこで、相手に対し、賠償請求できる可能性が高いです。

3-7.休業期間をどのようにして計算するの?

主婦の場合、休業期間をどのようにして計算すべきかも問題となります。
会社員の場合には、会社を休んだ日数分の休業損害が認められることが明らかですが、主婦の場合には休んだ期間を誰も証明してくれないためです。
まず、入院日数が休業期間に含まれることは、間違いありません。
通院日数についても、休業期間に含めるべきと思われますが、ケガの程度が軽く、病院が自宅近くなどの場合には、相手から「一日中家事ができなかったわけではない」、と言われてしまう可能性もあります。
自宅療養をしていた場合などには、なおさら相手から強く責められてしまうでしょう。
休業期間を証明するためには、医師による診断書が重要です。診断書に「就労不能状態」などと記載した診断書を書いてもらえば、休業が必要であったことを証明しやすくなります。
そのためにも、交通事故後の治療期間には、ある程度頻繁に通院し、医師との間で綿密なコミュニケーションをとっておくことが重要です。
 

4.主婦が被害者の場合の逸失利益

主婦が交通事故で被害者になると、逸失利益が発生することもあります。

4-1.主婦でも逸失利益が認められる

逸失利益とは、交通事故の影響により、労働能力が低下するために得られなくなってしまった収入(利益)のことです。
本来はたくさん働けたはずなのに、交通事故で後遺障害が残ったり死亡したりしたため、働けなくなって減収が発生した分を、相手に支払ってもらうイメージです。
逸失利益は、失われた将来の収入です。
逸失利益も、原則的には実際に働いて収入があった人に認められるものですが、休業損害と同様、主婦の場合にも認められます。
基礎収入についても、休業損害と同様、全年齢の女性の平均賃金を使って計算します。
逸失利益には、後遺障害逸失利益と死亡逸失利益があります。

後遺障害逸失利益

後遺障害逸失履歴とは、後遺障害が残ったことによる逸失利益です。
これを計算するときには、以下の通りの計算式で計算をします。
「1年あたりの基礎収入×労働能力喪失率×就労可能年数に対応するライプニッツ係数」
労働能力喪失率というのは、どの程度労働能力が失われたかという割合です。
後遺障害の等級により、労働能力喪失率の割合が異なります。等級が高い方が労働能力喪失率の数値は大きくなり、後遺障害1級から3級までの場合は100%です。
これに対し、もっとも低い等級である14級の場合には、わずか5%です。
そこで、後遺障害逸失利益の金額は、認定される等級によって大きく異なってきます。
ライプニッツ係数というのは、逸失利益の利息を控除するための特殊な係数です。
逸失利益を受けとるときには、将来分を一括で受けとることになりますが、これは、本来ならば、分割で受けとるべきお金です。
先に受けとると、その分運用して利益を得られる期間が長くなってしまうので、その利息を差し引こうという考え方があります。
その計算のために使う係数がライプニッツ係数です。
ライプニッツ係数を用いて計算するときには、いつまでの逸失利益を認めるかが問題となります。
これについては、基本的に就労可能年齢である67歳までと考えます。

死亡逸失利益

最後に、主婦の場合の死亡逸失利益の計算方法を確認しておきましょう。
死亡逸失利益とは、事故によって死亡してしまったために得られなくなってしまった将来の収入のことです。
死亡してしまった場合、その後一切の収入を得られないことが明らかですから、労働能力喪失率は常に100%です。
ただ、死亡すると、その分生活費がかからなくなりますから、生活費を控除しなければなりません。
そのために「生活費控除率」という考え方を使います。
生活費控除率とは、被害者が死亡したことによって生活費がかからなくなる分を、逸失利益から控除するための割合です。
被害者に扶養されていた人がいたかどうかや、被害者の性別によっても生活費控除率の数字が変わりますが、主婦の場合には、30%程度となります。
そこで、主婦の死亡逸失利益は、

1年あたりの基礎収入×70%(1-30%)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

によって計算されます。
平成28年度の全年齢の女性の平均賃金は3762300円ですから、たとえば40歳の主婦が交通事故で死亡した場合の死亡逸失利益は、

3762300円×0.7×14.643(ライプニッツ係数)=38563951円

となります。
30歳の主婦なら、

3762300円×0.7×16.711(ライプニッツ係数)=44010256円

となります。
このように、逸失利益は年齢が若い人ほど高額になります。
 

まとめ

今回は、主婦が交通事故に遭った場合の慰謝料や賠償金について、ご説明をしました。
まず、慰謝料については、主婦であっても他の人より減額されることはありません。
入通院した場合、後遺障害が残った場合、死亡した場合のいずれのケースでも慰謝料が発生します。
どの慰謝料も、弁護士基準で計算すると高額になるため、主婦がなるべく高額な慰謝料を請求するには、弁護士に示談交渉を依頼すべきです。
また、主婦の場合にも、休業損害や逸失利益が認められます。
主婦は現実の収入は得ていませんが、家事労働には経済的な価値があると認められるためです。
基礎収入について、相手の保険会社は自賠責基準を当てはめてくることが多いのですが、弁護士基準を使い、賃金センサスの平均賃金を用いて計算すると高額になります。
主婦が被害者になると、毎日忙しく家事や育児をこなしながら示談交渉を進めなければなりません。
そのようなことは非常に負担が重くなりますし、相手から不利な条件を押しつけられる危険性も高くなります。
そこで、弁護士に示談交渉を依頼すると、法律の専門家として、大きな味方になってくれます。
主婦が交通事故に遭って対応に悩んでいる場合や、相手の対応に疑問がある場合などには、まずは一度、交通事故問題に強い弁護士に相談してみることをお勧めします。
→ 交通事故問題に強く、無料相談できる弁護士こちら