交通事故というと、自動車同士や自動車と歩行者の事故のイメージが強いかもしれませんが、実際には自転車が相手の自転車事故も発生しています。
自転車には免許制度はありませんし、車体の小さいので事故が起こると自転車側の被害が大きくなりがちです。
今回は、意外と重大な自転車事故のポイントについて、解説します。
1.自転車事故の発生率は、どのくらい?
1-1.自転車事故の件数の推移
最近、自転車保険などもたくさんできて、自転車事故に対する注目も高まってきていますが、自転車事故は、どのくらい発生しているかご存知でしょうか?
2016年の警察庁による発表によると、交通事故の全体件数は、2005年には90万件を超えていましたが、2016年には50万件にまで減っています。
自転車事故に限ってみると、2005年には18万件以上起こっていたところ、2016年には9万件程度にまで減っています。
2005年には、自転車事故は交通事故全体の19.7%でしたが、2016年には、18.2%となっています。
このように、交通事故や自転車事故の件数自体は、減少傾向にあります。
1-2.死亡事故が増えている!
次に、死亡事故に注目してみると、2005年には、交通事故全体の死者数は7000人弱となっていました。
2016年には、4000人弱に減っています。
自転車事故の場合、2005年には死亡者が853人でしたが、2016年には509人となっています。
割合に直すと、2005年には、交通事故死亡者数のうち自転車事故の割合は12.3%でしたが、2016年には13.0%となっています。
2013年以降、自転車事故の死亡事故の比率が13%を切ったことはなく、2013年には13.7%、2015年には13.9%という高い数値となっていることも見逃せません。
このように、自転車事故は、死亡事故などの重大な事故に限ると、微増となっている可能性があります。
1-3.自転車事故で死亡する人は?
自転車事故で死亡する人は、どのような人が多いのでしょうか?
意外かもしれませんが、圧倒的に多いのは65歳以上の高齢者です。
若者の方が無謀な運転をするので、若者の死亡率が高いと考えるかもしれませんが、死亡者のうち19歳までの若者が占める割合は6%程度、20歳から29歳の人の占める割合は、わずか3%前後に過ぎません。
これに対し、65歳以上の高齢者が占める割合は、66%以上となっています。
今後は高齢化社会が進み、自転車に乗る高齢者も増えるでしょうから、自転車事故の中でも死亡事故が今以上に増加する可能性は十分にあります。
2.自転車に対する規制強化
自転車事故が大幅に増えているというわけではありませんが、自転車事故の危険性が把握されるようになってきたため、近年道路交通法が改正されて、自転車の運転に対する規制が強化されました。
改正道路交通法は、14個の危険運転行為を定めて、それに違反した場合の義務と罰則を定めています。
具体的には、3年以内に危険運転行為で2回以上摘発された場合、安全運転講習を受けなければならないと定められています。
講習を受けない場合、5万円以下の罰金を科されます。
この規定が適用されるのは、14歳以上の人なので、未成年でも規制を対象となります。
問題になる14個の危険運転行為は、以下の通りです。
- 信号無視
- 遮断踏切立入り
遮断機の下がっている踏切に立ち入ることです。
- 指定場所一時不停止等
標識などで一時停止を指示されている場所で、一時停止をしないことです。
- 歩道通行時の通行方法違反
歩道を通行するときに歩行者の通行を妨害した場合です。
- 制動装置(ブレーキ)不良自転車運転
- 酒酔い運転
- 通行禁止違反
通行禁止になっている場所を自転車で走行した場合です。
- 歩行者用道路における車両の義務違反(徐行違反)
自転車の走行が認められている歩道を走るときに、徐行しない場合です。
- 路側帯通行時の歩行者の通行妨害
路側帯(歩道がない場所)を通行するときに歩行者の通行を妨害する行為です。
- 環状交差点安全進行義務違反等
ラウンドアバウトの環状交差点で、逆回りに走行する場合などです。
- 通行区分違反
道路の右側を走行したり、自転車レーンではない歩道などの道路を走行したりした場合です。
- 交差点優先車妨害等
交差点で、優先される車両の走行を妨害する行為です。
- 交差点での右折方法違反等
交差点で、右折するときに、直進車の走行を妨害する行為などです。
- 安全運転義務違反
スマホで電話しながら運転をしたり、傘差し運転で、片手で運転していたりするケースなどです。
この改正道路交通法が施行されたのは2015年6月1日ですから、今上記の違反行為をすると、自転車でも摘発を受けて、講習や罰則を適用される可能性があります。
3.自転車保険とは?
自転車への規制が強化されたこともあり、自転車保険という保険ができています。
自転車保険は、自転車を運転する人が加入する保険です。
自転車を運転していて相手に損害を与えた場合(自分が加害者になる場合)と、自分がケガをした場合(自分が被害者になる場合)に、保険金を支払ってもらうことができます。
3-1.自転車保険の内容
自転車保険のことは知っているけれど、どんな補償を受けられるのかがわからない、という方も多いのではないでしょうか?
以下では、自転車保険の内容をご紹介します。
個人賠償責任保険
自転車事故でも、相手が歩行者などの場合、大けがをさせることがあります。
場合によっては死亡させてしまうかもしれません。
そんなときには、加害者である自転車の運転者が、被害者に対して莫大な損害賠償金を支払わなければなりません。
賠償金の金額は、数千万円~1億円以上になることもあります。
しかし、自転車には自動車と違って自賠責保険がないので、自分が加害者になったときにどこからも支払いを受けることができず、全額が自腹になってしまいます。
加害者が支払えない場合、被害者から裁判をされてしまうかもしれませんし、財産を差し押さえられる可能性もあります。
そこで、自転車保険に加入しておいて、何かあったときには自転車保険からお金を出してもらう必要があるのです。
このように、加害者の立場になったときに支払いを受けられる保険のことを、個人賠償責任保険と言います。
これは、自動車保険で言うと、対人対物賠償責任保険のようなものです。
個人賠償責任保険の限度額は、2億円以上にしておいたら、たいていの事故では賠償金が限度額を超えることがなく、安心できます。
個人賠償責任保険の賠償範囲
自転車保険の個人賠償責任保険は、自転車事故以外でも適用を受けられることがあります。
たとえば、日常生活において、誰かにケガをさせたり物を壊してしまったりしたときにも、個人賠償責任保険が適用されて、相手に対する適切な賠償金の支払をすることができます。
自分だけではなく、同居している家族が誰かに損害を与えた場合にも、補償の対象となるので、補償範囲は相当広いです。
(交通事故)傷害保険
次に、自転車事故で被害者になったときの問題を考えてみましょう。
自転車を運転していて事故に遭ってケガをしたら、加害者に対して賠償金の支払い請求をすることができます。
しかし、相手によっては、支払をしてくれない可能性があります。
相手が自動車の場合でも、相手が保険に加入していない可能性がありますし、相手が自転車なら、保険に入っていない可能性はより高くなります。
この場合、相手本人に賠償金支払いの請求をしても、支払に応じなかったり、実際に資力がないので取り立てもできなかったりします。
相手が自転車の場合、自賠責保険もないため、最低限の自賠責からの支払すら、受けることができません。
すると、治療費がかかっても自腹になってしまいますし、後遺障害や死亡などの重大な結果が発生しても、何の補償も受けられなくなってしまうのです。
そこで、自転車保険に加入しておくことにより、自分が被害者になったときの補償を受けることができます。
この場合の自転車保険のことを、(交通事故)傷害保険と言います。
これは、自動車保険の搭乗者傷害保険や人身傷害補償保険に似ています。
傷害保険の内容
傷害保険の内容としては、入院保険金、通院保険金、手術保険金、死亡保険金、後遺障害保険金が主となります。
- 入院保険金
自転車の走行中に交通事故に遭ってケガをして入院したとき、入院1日について、定額の保険金を受けとることができます。
補償期間が設定されていることが多く、180日(6ヶ月)となっていることが一般的です。
- 通院保険金
通院1日について、定額で支払いを受けることができます。
ただ、通院保険金は、ベーシックなプランにはついていないことが多く、つけるためには上位の保険(保険料が高額なプラン)に加入する必要がある例が見られます。
- 手術保険金
事故によって、一定内容の手術を受けたときに支払われる保険金です。
手術の種類によって、支給される保険金の金額が変わります。
- 死亡保険金
自転車に乗っていて交通事故に遭い、被害者が死亡したときに支払いを受けられる保険金です。
- 後遺障害保険金
自転車に乗っていて交通事故に遭い、被害者に後遺障害が残ったときに支払を受けられる保険です。
3-2.自転車保険の特約
自転車保険には、さまざまな特約をつけることができます。
まず、示談代行サービスがあります。これは、事故を起こして加害者となったときに、保険会社が自分の代わりに相手(被害者)と示談をしてくれるサービスです。
自動車保険で任意保険会社が示談交渉を代行してくれるのと同じ仕組みです。
また、弁護士費用特約もあります。
これは、交通事故が原因で必要になった弁護士費用について、自動車保険会社が負担してくれるという特約です。
弁護士の法律相談料や着手金、報酬金などを保険会社が出してくれるので、安心して弁護士に相談したり示談交渉や訴訟を依頼したりすることができて、メリットが大きいです。
自転車保険を選ぶときには、どの程度の補償を受けられるのかや、特約の内容にも注意して、ニーズに合うものを選ぶと良いでしょう。
4.自転車事故と自動車事故との違い
自転車事故と、自動車同士の事故には、どのような違いがあるのでしょうか?以下で、見てみましょう。
4-1.児童や高齢者も運転する
自転車には、免許制度がありません。
そこで、子どもや高齢者も運転します。
子どもや高齢者は、危険を回避する能力が高くないので、自動車側が十分に配慮しておかないと、自動車側の責任が重くなってしまいます。
4-2.危険な運転をする人がいる
自転車には免許制度がないため、交通違反をしても免許を停止されたり取り上げられたりすることがありません。
そこで、危険な運転をする人でも平気で自転車に乗っている可能性が高いです。
自動車側が「そんな行動には出ないだろう」と思うような、驚くほど無謀な運転をすることもあるので、自転車が近くにいるときには、十分注意が必要です。
4-3.自転車側の過失割合が低くなる
交通事故が起こったら、事故当事者双方の「過失割合」が重要です。
過失割合が高くなると、相手に請求できる賠償金の金額が大きく減ってしまうので、示談交渉をするときには、なるべく過失割合を低くする必要があります。
そして、過失割合は、基本的に「立場の弱いものが保護される」仕組みになっています。
弱い立場のものは、事故を避ける能力も低いですし、事故によって受ける損害も大きくなるからです。
自動車と自転車を比べると、明らかに自転車の立場が弱いので、自転車事故が起こると、自転車側の過失割合は相当小さくなります。
自動車側からすると、「今のは、自転車が悪いのでは?」と感じるようなケースでも、自転車の過失割合はそう大きくならず、自動車側に高い過失割合が割り当てられることになります。
4-4.自転車側の被害が大きくなる
自動車と自転車が交通事故の当事者となったら、当然自転車側の被害が大きくなります。
自動車やバイクが無傷でも、自転車に乗っていた人は、重傷を負ったり死亡したりするリスクが高くなります。
そこで、自転車相手に事故を起こすと、非常に大きな金額の支払いが必要になります。
保険に加入していても限度額を超えたら支払が必要になりますし、保険に入っていなかったら、到底自分では支払いきれないほどの損害が発生してしまう可能性があります。
4-5.刑事事件になるリスク
交通事故を起こしたときに無視できないのが、刑事事件になってしまうリスクです。
過失によって交通事故を起こしたら、自動車運転過失致死傷罪や危険運転致死傷罪という犯罪が成立して、処罰を受ける可能性があるのです。
すべての交通事故で刑事事件になるわけではありませんが、事故の態様が悪質な場合や反省がない場合、結果が重大な場合などには刑事裁判になりやすいです。
自転車が相手の場合、自動車側の過失が大きいとみなされやすいですし、被害者に重大な結果が発生してしまうことも多いです。
そうなると、自動車に乗っていた加害者側が起訴されて刑事事件になってしまうおそれが高くなります。
5.自転車が凶器になる可能性もある
自転車は、被害者になるときばかりではありません。
加害者になる可能性も、無視してはいけません。
自転車同士の事故でももちろんのこと、歩行者が相手の場合、重傷や死亡などのより高い危険性が発生します。
また、自転車であっても、危険な運転によって相手を死傷させたら、刑事罰が適用されます。
通常の過失によって相手を死傷させたら、過失致死傷罪となります。
法定刑は、傷害の場合には30万円以下の罰金または科料、死亡させた場合には50万円以下の罰金刑です。
重過失によって相手を死傷させたら、重過失致死傷罪となります。
法定刑は、5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金です。
このような罰則もあるので、自転車を運転するときには、自分が凶器になる可能性もあることを、しっかりと認識しておく必要があります。
6.自転車事故の過失割合
自転車と自動車が事故の当事者となる場合、それぞれの過失割合はどのくらいになるのでしょうか?
以下で、代表的なケースを確かめていきましょう。
6-1.信号機のある交差点で、直進車同士の出会い頭の事故
信号機の色 | 自転車の過失割合 | 自動車の過失割合 |
自転車が青、自動車が赤 | 0 | 100 |
自転車が赤、自動車が青 | 80 | 20 |
自転車が黄色、自動車が赤 | 10 | 90 |
自転車が赤、自動車が黄色 | 60 | 40 |
自転車が赤、自動車が赤 | 30 | 70 |
6-2.信号機のある交差点で、同じ道路において対抗方向から進入した場合の事故
事故の状況 | 自転車の過失割合 | 自動車の過失割合 |
自転車が黄色で直進、自動車が青色で交差点に入って黄色で右折 | 40 | 60 |
自転車が黄色で直進、自動車が黄色で右折 | 20 | 80 |
自転車が青色で交差点に入って黄色で右折、自動車が黄色で直進 | 20 | 80 |
自転車が黄色で右折、自動車が黄色で直進 | 40 | 60 |
自転車が直進、自動車が右折、信号は両方とも赤 | 30 | 70 |
自転車が右折、自動車が直進、信号は両方とも赤 | 30 | 70 |
自転車が赤信号で直進、自動車が青信号で進入して赤信号で右折 | 60 | 40 |
自転車が赤信号で直進、自動車が黄色で進入して赤信号で右折 | 40 | 60 |
自転車が赤信号で直進、自動車が青矢印で右折 | 80 | 20 |
自転車が青矢印で右折、自動車が赤信号で直進 | 10 | 90 |
6-3.信号機のない交差点の事故
同じ道路において、対向方向から進入して起こった事故
事故の状況 | 自転車の過失割合 | 自動車の過失割合 |
自動車が右折、自転車が直進 | 10 | 90 |
自転車が右折、自動車が直進 | 40 | 60 |
同じ道路において、同じ方向から進入して起こった事故
事故の状況 | 自転車の過失割合 | 自動車の過失割合 |
自動車が右側通行直進、自転車が右折時に衝突 | 15 | 85 |
6-4.自転車事故の過失割合修正要素
過失割合には、修正要素という考え方があります。
修正要素とは、事故の状況や当事者に問題行為がある場合などに、基本の過失割合を修正して、過失割合を足したり引いたりするための事情のことです。
たとえば、一方当事者に著しい過失がある場合に、その当事者の過失割合を足すことなどがあります。
自転車側の過失割合の修正要素には、以下のようなものがあります。
加算要素
- 高速度進入
概ね時速20キロメートル以上の高スピードで自転車が交差点に進入した場合などです。
- 夜間
夜間は、自動車側から自転車を発見しにくくなりますが、自動車のヘッドライトがあるので、自転車からは自動車を見つけやすいです。
そこで、夜間の事故では自転車の過失割合が上がります。
- 自転車の著しい過失
通常予想されている程度を越える過失です。
酒酔い運転や脇見運転、ブレーキ装置不良や無灯火、二人乗りなどです。
- 自転車の重過失
故意に匹敵するような重大な過失で、両手ばなし運転などの場合です。
減算要素
- 横断歩道進行
自転車が横断歩道を通行しているときには、自動車の注意義務が高まるので、自転車のか室割合が下がります。
- 児童・老人
自転車の運転者が13歳未満の児童や65歳以上の高齢者の場合、自動車が配慮をすべきなので、自転車の過失割合が下がります。
- 自動車の著しい過失
自動車が脇見運転などで著しい前方不注視をしていたとき、酒気帯び運転、軽度の速度違反の場合、著しいハンドル・ブレーキ操作ミスなどがあったときです
- 自動車の重過失
自動車が居眠り運転、無免許運転、重度な速度違反、酒酔い運転などをしていた場合には、重過失があるとして、自動車の過失割合が大きく上がります。
7.自転車事故の慰謝料
自転車事故に遭うと、どのくらいの慰謝料を支払ってもらえるものなのでしょうか?
慰謝料についての考え方は、自動車事故と同じです。
そこで、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料、死亡慰謝料を請求することができます。
7-1.入通院慰謝料
自転車事故が原因で病院治療を受けた場合には、その期間に応じて入通院慰謝料という慰謝料を請求することができます。
入通院の期間が長くなればなるほど、入通院慰謝料は高額になります。
入通院慰謝料の金額の目安は、以下の通りです。
通院1ヶ月…23万円
通院3ヶ月…73万円
入院1ヶ月、通院2ヶ月…98万円
通院6ヶ月…116万円
入院2ヶ月、通院6ヶ月…181万円
ただし、軽傷の打撲のケースや、軽いむちうちで自覚症状がないケースなどでは、3分の2程度の金額に減額されます。
7-2.後遺障害慰謝料
自転車事故で大けがをすると、後遺障害が残ることがあります。
その場合には、後遺障害慰謝料という慰謝料を、相手に請求することができます。
後遺障害の内容はさまざまなので、残った後遺障害の種類や程度によって、後遺障害慰謝料の金額は変わります。
後遺障害には、「等級」というレベルがあり、等級が上がるほど、慰謝料の金額は高額になります。
最も重い等級が1級で、最も軽い等級が14級です。それぞれの等級の後遺障害慰謝料の金額は、以下の通りです。
1級 2800万円
2級 2370万円
3級 1990万円
4級 1670万円
5級 1400万円
6級 1180万円
7級 1000万円
8級 830万円
9級 690万円
10級 550万円
11級 420万円
12級 290万円
13級 180万円
14級 110万円
7-3.死亡慰謝料
自転車事故で被害者が死亡したら、「死亡慰謝料」という慰謝料が発生します。
死亡慰謝料の金額は、死亡した被害者が家族の中でどのような立場であったかによって変わります。
具体的には、以下の通りです。
- 被害者が一家の支柱だった場合…2800万円〜3600万円程度
- 被害者が母親や配偶者だった場合…2000万円〜3200万円
- 被害者が独身者だった場合…2000万円~3000万円程度
- 被害者が高齢者だった場合…1800万円〜2400万円程度
- 被害者が子どもだった場合…1800万円〜2600万円程度
8.自転車事故で、高額な賠償金を請求する方法
自転車事故に遭ったとき、なるべく高額な賠償金の支払いを受けるためには、弁護士に示談交渉を依頼する必要性が高いです。
以下で、その理由をご説明します。
8-1.過失割合が下がる
交通事故で、賠償金を高額にするためには、自分の過失割合を下げることが重要です。
過失割合が上がると、その分賠償金を減額されてしまうためです。
ただ、被害者が自分で相手の保険会社と示談交渉をしていると、相手は不当に高い過失割合を当てはめてくることが多いです。
そのときには、上記でご紹介したような適切な過失割合ではなく、根拠のない高い過失割合を押しつけられてしまうのです。
どうしてそのようなことになるかというと、相手の保険会社は営利目的を持った企業で、なるべく支払額を抑えたいと考えているためです。
被害者には交通事故の過失割合についての知識がないため、保険会社が「この事案では、こういうものです」と言ったら、「そうですか」と言って受け入れることが多いです。
そこで、保険会社は、被害者が余計な知識を仕入れないうちに、高い過失割合を押しつけて示談してしまおうとするのです。
被害者が自分で示談交渉していると、どうしても保険会社の言いなりになってしまいますが、弁護士に依頼したらそのようなことはなくなります。
適切な過失割合の認定基準をあてはめてくれるので、結果的に過失相殺が行われなくなり(小さくなり)、高額な賠償金を請求できることになるのです。
8-2.弁護士基準で計算できる
交通事故の損害賠償金を計算するときには、3種類の計算基準があります。
その中でも「弁護士基準」で計算したら、金額がもっとも高額になります。
上記でご紹介した慰謝料の金額の相場も、弁護士基準で計算したものです。
ただ、被害者が自分で相手の保険会社と示談交渉をするときには、弁護士基準で計算してもらうことを期待できません。
このときには、もっと低い「任意保険基準」や「自賠責基準」で計算されてしまうので、賠償金を下げられてしまうのです。
弁護士に依頼したら、間違いなく「弁護士基準」で計算されるようになるので、自分で交渉していたときと比べて大きく賠償金がアップします。
場合によっては金額が2倍、3倍になることもあります。
8-3.後遺障害の等級認定を受けやすくなる
交通事故で、適切な金額の賠償金支払いを受けるためには、「後遺障害の等級認定」が非常に重要です。
後遺障害が残っても、きちんと等級認定を受けない限り、後遺障害慰謝料や逸失利益(将来の減収分の補償)を受けることができないためです。
ただ、後遺障害等級認定手続きをうまくすすめるには、ノウハウや専門的な知識が必要なので、被害者が自分で取り組むと、うまくいかないことが多いです。
弁護士に依頼すると、適切に認定の手続を進めてくれますし、より高い等級の後遺障害認定を受けられるので、結果的に支払いを受けられる賠償金の金額が上がります。
このように、自転車事故で高額な賠償金の支払いを受けたいなら、弁護士に対応を依頼すべきです。
無料相談や弁護士費用特約を利用すると、費用の負担なしに弁護士に対応を依頼できるので、是非とも一度、弁護士に相談してみましょう。
まとめ
今回は、自転車事故について重要なポイントを解説しました。
近年自転車事故の危険性が注目されていて、自転車運転に対する規制も強化されているので、自転車を運転するときには、くれぐれも注意しましょう。
自転車事故に遭うと、重傷や死亡などの重大な被害が発生する可能性も高いです。
自転車事故に遭って、適切な賠償金支払いを受けるためには、弁護士に示談交渉を依頼する方法がベストです。
自転車で事故に遭って対応に困っている場合には、まずは一度、交通事故に強い弁護士の無料相談を受けてみると良いでしょう。
交通事故に強い弁護士こちら